耐糖能を上げて高血糖にならないようにするための方法論

運動療法(筋トレ)と糖質制限で2型糖尿病を治すために

インスリン感受性=筋肉量/内臓脂肪量

バーンスタイン医師はインスリン感受性は筋肉量と内臓脂肪量の比率が影響するとおっしゃっています。

1.まず痩せて内臓脂肪を減らす
2.筋トレで筋肉量を増やす

これで体脂肪率が下がります。

糖尿病になった時点でβ細胞は大分やられていますから、インスリンは健常者ほどには出なくなっています(2型糖尿病と判定される入り口レベルでβ細胞の7割は死滅または機能不全を起こしている状態と言われている)。

ですから、少ないインスリン量でもちゃんと血糖値が下がるように耐糖能を上げるというのは、インスリン感受性を高めることと等しいわけです。

インスリン感受性を高めるには内臓脂肪を減らすか、筋肉量を増やすことが必要です。

合併症を防ぐためには食後血糖値を180mg/dLに上げないように炭水化物摂取量をコントロールする

糖尿病の方が糖質制限する本来の目的は合併症を防ぐためですよね。

合併症を防ぐためには、血管へのダメージが大きくなる180mg/dLを超えるような血糖値になることは避けた方がよいです。

こういうと、糖質を限りなくゼロに近づけようとしてしまう方がいらっしゃいますが、むやみやたらに制限すると脳や赤血球が必要とするグルコース(糖質)の大半を肝臓の糖新生の仕組みに頼ることになります。

極端な糖質制限は筋肉量を減らして耐糖能を悪化させる原因になる

人間の赤血球はグルコースしか栄養にできず、脳も第一エネルギーはグルコースです。このグルコースが途絶えると死んでしまうので、一定の糖質量を確保するために肝臓で糖質をつくり出す「糖新生」という機能を人間は持っています。

糖新生の原料となるのは糖原性アミノ酸で、食事から摂取したタンパク質がアミノ酸に分解されるので、それが血中にあれば使いますが、無い場合は筋肉を異化させてアミノ酸を取り出して糖をつくりだします。

単にカロリー制限して痩せても筋肉量はかならず減少(痩せるということは脂肪と筋肉の異化が進むことなので必ず減る)しますが、糖質制限で痩せた場合は、単にカロリーを減らした場合以上に筋肉量が減るペースが早まります。

筋肉量が減ると、骨格筋に取り込める糖質量も減りますし、血中の糖質を筋肉に取り込むGLUT4という糖輸送用のタンパク質の働きも弱くなり糖代謝が下がります。

β細胞の死滅によりインスリン分泌量自体に余裕がなくなっているうえに、血中糖質の70%を取り込む筋肉量が減ることで耐糖能はさらに低下するというわけです。

したがいまして、極端な糖質制限を行って食後血糖値が殆ど上がらなくなったから安心ということではなく、あくまでも食後血糖値180mg/dLオーバーしないように糖質摂取量を管理するという考え方が重要です。

膵臓を休ませて肝臓を糖新生フル回転で酷使することが身体に良いのかどうか?

常識的に考えれば何かに偏ることがガタつく原因と考える方が自然です。

減らした炭水化物の代わりに摂るべき食品

食後血糖値を爆発させないために炭水化物を減らすということは、同じエネルギーを摂ろうとした場合、タンパク質と脂質の摂取量が増えるということになります。

このとき注意したいのは脂質の摂りすぎです。

脂質はインスリン抵抗性の要因となり、また心疾患の要因にもなります。

特に炭水化物をお肉などに多く含まれる飽和脂肪酸(常温で固まっている油)に変えた場合、死亡率が上がることが分かっています。

炭水化物を減らした分は、一価不飽和脂肪酸に変えられると逆に死亡率が下がるデータもありますので、炭水化物を血糖値が爆発しない程度まで落とし、オリーブ油やマカデミアナッツなど一価不飽和脂肪酸の量を増やしてカロリーを充足するのがリスクが少ないです。

からだに良いと言われる魚の油(多価不飽和脂肪酸)は適量では健康によい影響を与えますが、量が増えすぎるとやはり死亡率が高まるデータになっています。

低炭水化物食に切り替えたとき、脂質の多いお肉よりも大豆食品などの植物性たんぱく質を多く含む食品に変えた場合は、2型糖尿病リスクは上がらないというデータもありますので、お豆腐や大豆食品などをうまく活用するのがよいかと思われます。

植物性たんぱく質を含む食品はアミノ酸バランスからいうと不足しているので、それを補うために血糖値が爆発しない程度にお米なども一緒に摂るとアミノ酸バランスが良くなります。

炭水化物の完全断ちは、他でエネルギーを安全に長期間に渡ってまかなうのが難しいので摂れる範囲で摂るようにしましょう。

筋トレは高強度ほど効果的

糖質制限にせよカロリー制限にせよ、どのみち内臓脂肪を落とすには痩せることが必要です。

ただ、痩せる=異化が同化を上回る現象ですから、筋肉量も低下してしまいます。

この低下した筋肉量を増やすために筋トレが必要になります。

筋トレで重要なことは自分の限界よりも少しだけ上の点まで運動強度を上げることです。

無理のない範囲で回数をこなしても筋肉というのは決して大きくならないからです。

現状の筋肉では無理だという認識を体がすることで、筋肥大が起こります。

無理のない低強度ですと、この筋肉で大丈夫だったということで現状維持するわけです。

スクワットであれば、最後の1回は辛くて足がぷるぷるいう状態まで追い込んでできるレベルの回数やセット数が必要です。

例えば自重スクワットであれば初めは1セット20回で6セット(=合計120回)くらいチャレンジしてみて出来なければ1セットの回数やセット数を調整してみてください。

これが楽々出来てしまう方の場合は、これ以上回数をこなしても無駄なので、バーベルやダンベルで負荷をかけて高強度トレーニングしないと筋肉量というのは中々増えません。

筋トレ後は糖質を摂っても血糖値はあまり上がらない

筋トレを高強度で行うと、筋肉に蓄えられたグリコーゲンが筋肉が力を出すための栄養源として使用されます。

筋肉にはおよそ300gの糖質が蓄えられているといわれていますが、これを消費して筋トレが可能となっているのです。

筋トレをして筋肉に蓄えられた糖質量が減ると、その後食事を摂ったときには血中グルコースはまずGLUT4という糖移動機能を持ったタンパク質によって、血中から筋肉にグルコースを移動させる現象がおきます。

そのため、筋トレ後に糖質を摂っても一定量は筋肉へ移動するため食後血糖値が上がらないのです。

これでも50~75g程度の糖質摂取量で血糖値が爆発してしまう場合、筋トレの質が悪いということになります。

この筋トレ後は血糖値が上がらないという性質をうまく利用すると、いままで糖質制限されていた方は決して食べることができなかった糖質量を摂ることが可能です。いわばボーナスタイムです^^

また、筋トレ後には必ず糖質とタンパク質が必要になります。

タンパク質を原料に筋肉に同化させて大きくするためには、その原料となるタンパク質がまず必要です。

それと同時にインスリンの力も非常に重要で、インスリンは血糖値を下げるという機能だけでなく筋肉などの糖質を必要とする細胞に栄養を与えるという重要な機能があります。

糖質を一定量出してインスリンを分泌させることで、タンパク質(アミノ酸)を筋肉に効率良く同化させることができ、それにより筋肉は大きく肥大化します。

というわけで、筋トレ後は必ず食事やプロテインなどを活用してタンパク質と糖質を摂るようにしてください。

こうして筋肉量を増やしていくと、やがていつの間にか筋トレをしなかった日の食後血糖値もピーク値が下がってきます。

耐糖能が改善されたということです。

エアロバイクによるインターバルトレーニングも効果的

筋トレが出来ない方は、ジムとかにあるエアロバイクを活用するのも手です。

インターバルトレーニングといって、エアロバイクの負荷設定を高くして全力で辛くなるまで漕ぐという運動と、軽めの負荷で有酸素運動的に漕ぐという状態を交互に繰り返すトレーニングです。

人間の体で一番大きな筋肉は太ももの筋肉ですから、ここをエアロバイクで鍛えることができるので血糖値を下げるのにも効果的です。

同じように泳げる方は水泳で「全力→流す」を繰り返すインターバルトレーニングをする方法もあります。

陸上でダッシュを繰り返すという方法もあります。色々あるので自分に合った高強度のトレーニング方法を見つけてください。

まとめ

まずは主食を完全に断つのではなく、カーボカウント(炭水化物の量を把握し、何グラムの糖質でどのくらい血糖値が上がるかを血糖値自己測定により把握する)を行い食後血糖値が180mg/dLをピーク値で超えないようにすること。多少余裕をもって160mg/dL以内くらいを目指した炭水化物量を摂取し、プラス筋トレで食後血糖値コントロールするのがトータルバランスとしては良いといえるのではないでしょうか。

そして食事を減らして痩せるだけでは筋肉量が減って耐糖能が低下するので、筋トレを行い筋肉量を増やして糖代謝を高めることが耐糖能を改善するために必要なことです。

ちなみに食後の有酸素運動で血糖値は若干下げられるもの、筋肉自体は増やせませんので、筋肉を増やすのは筋トレが必要です。そして筋トレ後には筋肉を合成するために必要な糖質とタンパク質を摂る必要もあります。

肥満型の2型糖尿病は痩せて内臓脂肪量が減るだけでかなりインスリン感受性が改善しますので、有酸素運動とカロリー制限だけでも改善する可能性は高いですが、2型糖尿病の半数は平均的なBMIの方です。

肥満型でない場合、減らせる内臓脂肪量の限界点が低いので、「筋トレ」で筋肉量を増やしたりGLUT4を活性化させるというのは必須科目なのです。

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